1/5武将兜の各パーツの特徴や素材をご紹介
はじめに
こちらの記事では2025年の新作として製作した、
- 1/5スケール 伊達政宗公兜
- 1/5スケール 徳川家康公兜
の各パーツの名称や由来、素材について細かくご紹介していきます。
各部位のご紹介
兜鉢(かぶとばち)
伊達政宗公の作品に用いている兜鉢は「六十二間筋兜(ろくじゅうにけんすじかぶと)」というものです。。
六十二間筋兜とは、62枚の細長い鉄板を頭の形になるよう重ね合わせて強度を高める工夫が凝らされており、戦国時代に流行した形になります。
雄山では、鋳造(型に金属を流して造形)にて、この兜鉢を表現しています。
鈴甲子のショールームでは、等身大の六十二間筋兜を製作・展示しております。
徳川兜の兜鉢は大黒頭巾(だいこくずきん)の兜です。
大黒頭巾は七福神の一人である大黒様のかぶっている頭巾の形を模したものです。家康公が夢の中で大黒様を見たことから、この形を取り入れたと言われています。
大黒頭巾の兜は、関ケ原の戦いや大阪夏の陣など、重要な戦いで家康公が着用し勝利を収めたことから「天下取りの甲冑」と呼ばれており、以降の徳川家では代々大切にされてきました。
こちらも雄山では鋳造でリアルに表現しています。
素材 | 合金 |
前立(まえだて)
兜の正面に付ける飾りを前立(まえだて)と言います。武将の特徴を象徴する飾りです。
伊達兜は弦月(げんげつ)の前立です。弦月とは月の形で簡単に言うと三日月のことです。月には神様が宿るという考えから、身を護るために月をモチーフにしたと言われています。
また、月は欠けても満ちることから不滅や再生の象徴とされ、弦月が満月に変化していくことから成長や大きな可能性をイメージさせます。
左右非対称の高いデザイン性は人気があり、戦国武将の兜と聞いて 伊達政宗のこの兜を思い浮かべる方も多いと思います。
徳川兜は獅噛み(しかみ)に羊歯(しだ)の前立です。
獅噛みは読んで字のごとく、獅子が噛む様子を金具で表現しています。正面の獅子が厄災など不幸なことを食べてくれるとように、魔除けで付けたと言われています。神社の狛犬と同じような意味があります。
また、羊歯は常に緑色で枯れにくい植物です。その特徴から「ずっと若々しくいられるように」という願掛けの意味があります。実際に家康公は75才まで生きました。当時としてはかなり長生きをして、たくさんの子孫が育ったことから、徳川家康の甲冑は五月人形としても長く愛されています。
素材 | 真鍮に24K鍍金、アルミ(獅噛み) |
錣(しころ)
1/5 伊達兜 黒小札紺糸(くろこざねこんいとおどし)
1/5 徳川兜 黒小札茶糸威(くろこざねちゃいとおどし)
錣(しころ)とは、兜の後ろや側面に付いている部分で、首や肩を保護するための重要なパーツです。兜の頭部だけでなく、首元から肩のあたりまでをカバーすることで、敵の攻撃や矢から武将の体を守る役割を果たしていました。
穴の空いた金属の板に、糸を通す威という技法を使っており、糸の色や模様によって兜の印象が作られていきます。
1/5武将兜はインテリアを意識した作品のため、錣や後述する忍緒は実在の甲冑の色とは異なります。お家のインテリアに調和しやすい色として伊達は紺色、徳川は茶の錣を組み合わせました。
素材 | アルミ、正絹糸 |
忍緒(しのびのお)
(左)伊達兜の忍緒 (右)徳川兜の忍緒
忍緒(しのびのお)とは、兜に付いている紐の一種で、兜を頭にしっかりと固定するためのものです。
1/5武将兜では左右対称で、バランスの良い美しい結び目である「総角(あげまき)」という結び方を採用しています。神社仏閣や大相撲の土俵でも用いられる結び方で、神聖な場で用いられることが多いです。
徳川兜はキャメルというブラウンとベージュの中間色で、伊達兜は鉄紺色という鉄色がかった緑みのある紺色です。
素材 | 人絹 |
付属品について
作家札
鈴甲子雄山の作品である証となる、プレートの付いた作家札です。
比較的小さいので場所をとらずに スマートに飾っていただけると思います。
素材 | 天然木・真鍮 |
袱紗(ふくさ)
布地を表裏二枚合わせ、または一枚物で、ふろしきより小さい方形に作ったものを袱紗(ふくさ)と言います。
進物に掛けたり、茶道で茶碗を受けたりするためにも使われており、礼儀を尽くす際に用いられています。
1/5武将兜は共通で、グレーとベージュの中間色である、グレージュの袱紗が付属します。
素材 | 人絹 |
芯木(しんぎ)
兜を支える木製の部品を芯木といいます。
1/5武将兜では、お櫃と同じ素材(桐材を黒で塗装)で仕立てた芯木が付属します。芯木は袱紗の下に入れても、上記の写真のように敷いた袱紗の上に乗せて直接兜を被せても、どちらでも構いません。お好みの飾り方でどうぞ。
素材 | 天然木 |
お櫃(おひつ)
1/5 武将兜には、収納のためのお櫃が標準でついております。桐を黒で塗装したお櫃です。
お櫃は、兜やその他の飾り物を安全に収納するための箱です。使用しないときは、しっかりと収納することで、埃や汚れから守ることができます。これにより、飾り物の劣化を防ぎ、長持ちさせることができます。
また、防湿の観点からもお櫃は足で箱を持ち上げている構造のため、湿気を下に逃す構造になっています。金属や絹糸は多湿の環境における劣化が早いので、お櫃で収納することをおすすめしております。
艶を抑えた 光沢の無い黒は落ち着いた印象を与えます。和室洋室問わず飾っていただけると思います。
素材 | 天然木 |