国宝 竹雀之鎧 1/5スケール
商品番号: yy510003
青森県の櫛引八幡宮収蔵の赤糸威鎧(菊一文字の鎧兜)と並び、現存甲冑の双璧と称されています。
雄山が実地調査を行い、金具のデザイン・寸法・バランスを模写、1/5サイズに縮小したレプリカを製作しました。
※原寸の甲冑サイズの1/5スケールで制作してあります。弊社の中では1/6スケールが最も小さいサイズですので、比較的小さい作品になります。
※どの飾り方についてもお櫃をお付けしています。櫃なしでのご用意はございません。
札板:真鍮
威糸:正絹
絵皮:鹿革
鍬形:真鍮金メッキ
飾り金具:錫合金に金メッキ
・ケース飾り:幅35×奥行35×高さ43(cm)
・台飾り:幅28×奥行28×高さ31(cm)
国宝 竹雀の模写ができるまで
国宝 竹雀との出会い
国宝 赤糸威鎧-竹虎雀飾-(通称:竹雀の鎧兜)は、青森の櫛引八幡宮に所蔵されている菊一文字の鎧兜と並んで、現存甲冑の双璧とも呼ばれています。その豪華絢爛な金具装飾、甲冑としての技術力は、当時の贈り物としても最上のものであり、だからこそ室町時代から現在まで、ほとんどそのままの形で保存されている数少ない国の宝です。
現代の我々職人は国宝から、お前にこんな作品が作れるのかと言われているような、先人たちの自信と誇りを感じます。ある意味で古代の職人からの挑戦状のようで、国宝を目の前にするととてもワクワクします。
実は、竹雀は先代雄山がどうしても生み出したかった作品でした。ただ、当時の我々の技術では限界があり、五月人形の職人のもつ技術の引き出しだけでは、到底太刀打ちできるものではありませんでした。
そのため、この竹雀を製作すべく、先代と我々とで様々な職人と出会ってともに仕事をし、技術の引き出しを増やし、また実物の甲冑の実地調査を繰り返してきました。鍛金や彫金・彫刻の技術、金物や革の扱い。。。
それぞれの技術の中でもより専門的な部分に触れることを目指しました。あるとき、それらの知見が一つに繋がった感覚を覚えたのを今でも記憶しています。そこで改めて奈良の春日大社に趣き、竹雀と向き合って試行錯誤の末にたどり着いた作品です。
豪華絢爛な金具を作る
金具製作の意外なヒント
竹雀は細部まで、精巧な作りをしています。実際に着ることのできる甲冑でかつ、装飾を踏んだんに施している。外観だけでは伝わり切らない部分も、ミニチュアサイズで忠実に起こしています。
まずは金具製作です。金具の製作は、デザイン作りから始まります。スケッチを元に立体をイメージして、原型製作に移っていきます。
通常、五月人形の金具の原型には石膏を用います。石膏による原型製作は、丸みを帯びたデザインになってしまうという特徴があります。竹雀の金具は全体的にシャープな掘りを特徴としているため、模写をするのには適していません。そこで雄山は独自の彫刻技術を用いることにしました。
その引き出しは意外にも身近な判子にありました。判子は掘り込みが直角で、削りが鋭いことが特徴です。そのため、竹雀の精巧かつ複雑な模様にも耐えうることがわかりました。
あとは、根気のいる仕事。竹の葉、小さな雀、全て一個一個削り出していきます。また種類も膨大にあり、少しでもヒビが入ると金具にも反映されてしまうため、慎重かつ丁寧な職人技の見せ所です。
こうしてできた繊細な金具がこちらです。
1領に100羽の雀が棲む
そんな竹雀の鎧全体には、雀が100羽棲むと言われています。雀をモチーフにしたのは、おそらく子宝に恵まれる日本国の子孫繁栄を願ってのことではないかとされています。鈴甲子の竹雀には、お子様が健やかに成長することを願い56羽の雀が棲んでいます。
猫のような愛らしい虎
動物園のない室町時代には、虎をみたことがある日本人はほとんどおりませんでした。そのため、空想で描くしかなかったことから、大きい猫のような動物だとの伝聞を頼りに、掘り起こしたものではないかと言われています。悠々自適に自然を闊歩し、竹林で佇む姿は森の王者の貫禄をしています。
奉納の鎧とは
奉納の鎧とは、手足のやお面などの防具を備えていない、甲冑本体のみを携えた鎧のことを指します。神社に奉納するにあたり、神の前では戦う意志を見せないといった心構えがあったのでしょうか。
奉納の鎧は天皇や大将からのご褒美、プレゼントとしての役割もありました。現代でいう高級車を送るようなものでしょうか。
この竹雀は、一説によると足利義満が春日大社に送ったものではないかとも言われています。室町時代、これだけの甲冑を作る財力を持っていた人物は、日明貿易を成功させ金閣寺を建立するほどの一財を築いた足利義満くらいではないかというところから有力な説として挙げられています。
着用可能で甲冑の機能を全て備えた作品
雄山の作る竹雀は、実際にこのサイズの人間がいれば着用することができるように、甲冑としての機能を全て備えています。
例えば、竹雀は馬に乗って戦うための防具として設計されています。そのため、馬が走った時の上下の運動を抑えるよう、後ろに逆板 -さかいた- という機能を用いることで肩の位置がずれないようにしていました。そして肩にはクッション材が入っており、同じく肩への衝撃を吸収する役目がありました。
曲がり方へのこだわり
雄山の作品は、実地調査と時代考証をもとに、吹返の曲げ方を各作品で少しずつ変えています。我々が説明するときによく使うのが浅葱綾威と竹雀との比較です。 浅葱は南北朝時代の作品のため、曲がり方がゆるいカーブを描き、上に立ち上がったような綺麗な三角形の形状、そして竹雀は全体が均一にカーブを描き、綺麗に後ろの返しがくる形状となっています。
職人の一言
鈴甲子の技術の全てをつぎ込むことで出来上がった竹雀の鎧兜。その歴史は深く、現代でもそのままの形で残っている数少ないものです。実物は奈良の春日大社に奉納されており、展示されている機会も多いです。
これまで実物をみて、触れて、実寸で模写をする、これらの工程を繰り返してきたがゆえ、我々のわかる範囲で甲冑としての本質にこだわり抜きました。
将来大きくなったお子様が実物を見て、「うちにも同じものがある」と言ってもらえるのが何よりの楽しみでございます。
ぜひ鈴甲子ショールーム、もしくはお近くの販売店でご覧いただけたら幸いです。
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