Armaduraができるまで
甲冑に牛革を使う?
Armaduraの作品はどれも牛革を使って甲冑を表現しています。 通常の節句人形の鎧兜では、牛革を使った作品はまずありません。小札を作る際も和紙や金属を用いて表現しています。
ただ、実は甲冑と牛革は縁がとても深いもので、実物の製作にも牛革が用いられていました。
平安〜鎌倉時代には、牛革を漆で固めた「小札」というパーツが全身に用いられています。鎧を一領作るのに、牛半身ぶんの革が使われたとも言われており、甲冑の製作には欠かせない技術でした。
ですが、五月人形の製作においては牛革を用いるパーツがまずありません。雄山は実際の甲冑の模写など、牛革を取り扱う機会もあることから、作品にもその技術を活かすことはできないか、これまでも作品の表現に牛革を用いてきました。
その一部をご紹介します。
わかりやすい作品は、徳川家康公の甲冑の模写鎧です。札板-さねいた-と呼ばれるパーツを表現するのに用いています。
細かい話になるのですが、家康公の甲冑は、板に鹿革を巻き漆を塗った作り方をしているため、その質感を表現する際に最適だったのが牛革だったのです。
牛革を札板の形に抜いて穴を開け糸を通す、威-おどし-の作業を全身に施すことで全体が形作られています。
こうした技術の引き出しの多さが雄山の一番の特徴です。
そして、この牛革の技術を用いて、兜飾りを現代的な形にアレンジできないかと企画が始まったのが、Armaduraシリーズなのです。
アンティーク調に兜をアレンジ
牛革と聞いて、最初にイメージしたのが革靴です。ヨーロッパの古い街並みの中にたたずむ、木目調のアンティークなお店のショーウィンドウに並ぶ革靴は男心をくすぐるアイテムです。
ヨーロッパ調のアンティークな世界観を持った五月人形がそうした空間に並ぶところをイメージして、兜を作ってみようと製作が始まりました。
ただ牛革を使うだけでは勿体無いので、革靴でもよく用いられる経年劣化の味わいを表現するぼかしの技術を導入しました。(※コンセプトはパティーヌ製法と同じですが製法は異なります)これによってアンティークな印象がより強まります。
ヨーロッパ調に寄せたとはいえ、どこか日本らしさを感じる構成を検討していたところ、唐草模様が頭に浮かびました。日本でも古くから親しまれている図柄の唐草は、古代文明からシルクロードを渡って日本に伝わったもので、ヨーロッパでもカーテンのデザインで使用されており、その和洋折衷なデザインは、この兜のコンセプトにぴったりでした。
ブランデーケースのような収納ケース
こうしてできた兜をこれまで展開していましたが、この世界観に合わせるセッティングはなかなか難しく、少ないです。
雄山では、シンプルな菱形屏風をベルベット調に仕立てた屏風飾りをご用意していますが、より世界観を強めるための進化が必要だと考えはじめました。
国際空港の免税店などでよく目にする、ブランデーの両脇にグラスをセットしたケースは、存在感が大きく、私にとっていつも目を惹かれる憧れの品です。
そんなケースの中に兜を飾ったら、どんなに素敵だろうかと思い、ケースの製作に着手します。
両脇にはブランデーグラスの代わりに、太刀と火縄銃を携えています。あとは、コーナーに配した飾り金具もアンティークショップにありそうなデザインで素敵です。
飾り方
飾り方は単品や屏風台を用いる飾り方や、単品で飾る飾り方、弓太刀をセットする飾り方などさまざまご用意しております。
詳しくは商品ページをご覧ください。
一番下に、Armaduraシリーズの商品一覧を載せておりますので、そちらからご覧ください。